協議離婚の特徴|夫婦で話し合うべき内容とトラブル防止のポイント
2025/12/27
協議離婚の特徴
夫婦で話し合うべき内容、トラブル防止のポイント
離婚の方法には、いくつかの方法があります。その中で最も基本的な方法が「協議離婚」です。「協議離婚」には、離婚の合意を形成する過程で、公的な手続きを利用せず、柔軟で簡便に解決できるというメリットがあります。しかし、何の準備もなく進めると後日のトラブルになるおそれがあるので、協議すべき内容や協議のポイントを押さえ、理解しておくことは大切です。
離婚手続きの種類
離婚を成立させるための方法には、以下の4つがあります。
1.協議離婚
2.調停離婚
3.審判離婚
4.裁判離婚
「協議離婚」は、夫婦が話合いにより離婚に合意し、離婚届を市町村役場に提出することで、離婚が成立する方法です。家庭裁判所の手続きを利用する必要はありませんし、時間や費用をほとんど掛けることなく離婚することも可能です。最も多く利用されている一般的な離婚の方法と言えます。
「調停離婚」は、夫婦で話合いがまとまらない場合に、家庭裁判所において調停委員の仲介により合意を目指す方法です。調停でも合意に至らない場合には、「審判離婚」として離婚の可否を判断し、又は「裁判離婚」として訴訟手続きにより離婚を争って結論を出すことになります。これらの方法は、協議離婚と比べて時間と費用が掛かることが多く、精神面での負担も大きくなりがちです。
協議離婚で話し合うべき事項
離婚する際には、離婚するか否かを決めるだけでは足りません。婚姻中に形成した財産の清算や子どものことなど、離婚届を提出する前に十分に話し合い、合意を形成しておくべき事項があります。これらの取決めをおろそかにすると、離婚後に思わぬトラブルに発展することも考えられます。
①財産分与
婚姻期間中に夫婦が協力して形成した財産は、離婚時に分け合うことができます。これを「財産分与」と呼び、一般には、金銭的な評価が2分の1ずつになるよう分けます。
財産分与は、預貯金、不動産、株式、保険(解約返戻金)、宝飾品など金銭的価値のある動産、退職金など、幅広い財産が対象となります。財産分与の対象となる財産はリスト化するなどし、いくらの価値があるか金銭的に評価する必要のある財産については評価方法や評価額を合意します。具体的に夫婦のどちらが何を取得するか決めるために必要な準備です。
②年金分割
離婚すると、夫婦が婚姻期間中に納めた厚生年金の記録(標準報酬額)を夫婦間で分割することができます。これを「年金分割」と呼び、これを通じて各自の将来の年金額に反映させることができます。
合意分割、3号分割という2つの分割方法があります。3号分割は、主に夫婦の一方が専業主婦(夫)であった期間について夫婦間の合意なしに2分の1の割合で分割する方法です。合意分割は、それ以外の期間について夫婦間の合意により分割する方法です。いずれの分割方法も、離婚した日の翌日から2年以内に年金事務所で分割を請求する必要があります。
③親権者の指定
未成年の子どもがいる夫婦の離婚では、夫婦のいずれかを単独の「親権者」とするよう決める必要があります。離婚時に、夫婦のいずれが親権者となるか合意しておかなければなりません。
ただし、2026年4月1日から、共同親権を選択することも可能になります。
④養育費
未成熟の子どもがいる夫婦の離婚では、未成熟の子ども(未成年者だけでなく、例えば大学生など成人していても経済的に自立していない子どもを含みます。)の生活や教育等に必要な費用の負担に関して、合意をしておくことが可能です。子どもの生活や教育を一定の水準以上に保つため、とても重要な取り決めです。養育費に関しては、裁判所が研究報告結果として公表している養育費算定表が参考になります。
養育費に関しても、2026年4月1日から、養育費の強化が図られる改正法が施行されます。この中には、両親の合意がなくても、子ども1人につき月額2万円の養育費請求権を認める法定養育費という制度も含まれます。
⑤面会交流
子どもを監護することがなくなる親が子どもと交流する時期、回数及び方法などについて、合意しておくこともできます。
子どもの年齢、発育の程度、性格、学校のスケジュールなどを考慮した現実的な取り決めを行いますが、子どもの成長に合わせて適切な面会交流の実施が行えるよう定期的な見直しも必要になります。
⑥慰謝料
離婚の原因となった事実によっては、夫婦の一方から他方に対して、慰謝料の支払を求める場合があります。典型的には、不貞やDVの事案が考えられます。
もっとも、慰謝料は必ず請求できるものではないことに注意が必要です。例えば、性格の不一致がある場合において、一見、夫婦の一方に問題があって離婚に至ったように見える場合でも、他方にも問題があったとみるべきケースがあります。このようなケースでは、慰謝料を請求しても合意に至ることは難しいかも知れません。
⑦その他の事項
その他にも、夫婦が歩んできた生活の状況により、きちんと合意して清算しておくことが望ましいものがあります。例えば、夫婦が連帯して負債を負っている場合、夫婦の一方が他方の保証人になっている場合などは、その負債や保証について、負債の負担者や負担方法、保証の解除などを協議しておくことが望ましいでしょう。
トラブル防止のポイント
以上のように、離婚に際して取り決めておくべき事項、取り決めておくことが望ましい事項は、いくつもあります。こうした事項は口頭で合意したとしても、後日相手方から反故にされてしまうと正確な合意内容を立証することが困難です。やはり「離婚協議書」として合意内容を書面化しておくことが望ましいことになります。合意する内容によっては、公正証書にすることを選択すべきでしょう。
また、財産分与を合意するについて、どのように取り決めるか難しいケースは珍しくありません。例えば、夫婦共有の不動産があるケース、夫婦の一方が婚前から所有していた不動産の住宅ローンを婚姻中も支払続けてきたケース、夫婦の一方の特別な努力により財産が形成されているケースなどでは、どのように協議して合意を目指すか悩ましいことも多いでしょう。こうした場合には、法律の専門家である弁護士に相談しておくことをお勧めします。弁護士に相談して、基本的な考え方や具体的なシミュレーションを示してもらったり、弁護士に交渉を依頼したりすることで、その後の協議を進めやすくなるでしょう。
その他にも、弁護士に相談しておくことで、想定外のトラブルの発生を最小限に抑えることができます。事案ごとの解決課題の洗い出し、離婚の合意に向けた手順のあり方、合意に至らなかった場合のリスク分析、合意後に予想されるリスク分析など、多角的に事案を分析して協議を進めることが期待できます。弁護士に相談、依頼することにより、離婚の当事者が自ら交渉することによる感情的な対立を避け、精神的な負担を軽減できることも、合理的で冷静な解決をするために有益です。