九段坂たじま法律事務所

小規模法人の破産の特徴|破産の基本と少額管財の制度

お問い合わせはこちら

小規模法人の破産の特徴|破産の基本と少額管財の制度

小規模法人の破産の特徴|破産の基本と少額管財の制度

2025/11/23

小規模法人の破産の特徴

破産の基本と少額管財の運用

経営者にとって破産は何とか回避したいことではありますが、その仕組みを理解しておくことは大事です。破産をするにも費用が必要ですし、計画的に取り組む必要があるからです。特に「少額管財」という制度を利用できるか否かは、小規模法人にとって重要な問題となります。

小規模法人の破産の特徴

少数で経営する法人であっても、多くの取引先を持ち、潤沢な資金を持つなど、しっかりとした経営基盤を構築していれば少しの変化で経営が揺らぐことはありません。しかし、特定の取引先に依存していたり、資金繰りに始終苦慮している小規模な法人では、少しのアクシデントが原因で倒産状態に至ってしまうケースがあります。また、物価高、人手不足といった外的要因で経営が維持できなくなるケースも増えてきています。

特に開業3年以内の企業においては、売上げ不足、開業資金や開業時融資の負担の大きさ、リース料や人件費など固定費の負担などが、典型的な課題として挙げられるようです。

また、小規模法人においては、経営者が自らの自宅を担保に供したり、売却したりするなど、個人財産で事業用の資金を捻出しているケースも見られます。このような場合、会社の破産と連動して経営者個人の破産も引き起こされる可能性が高くなってしまいます。

法人破産の基本的な流れ

法人破産を進めるときは、早めに弁護士に「相談」することをお勧めします。小規模法人であっても、倒産を見据えて準備するべきことは多岐にわたります。破産のための費用をどのように捻出するかという点も検討し、準備しなければなりません。他方、倒産を見据えた場合に、やってもよいことと避けるべきことがあります。こうした準備をすべき事項、注意すべき事項について、できるだけ早く見通しを立てておくことが大切です。

弁護士は、会社の経営状況、資産及び負債の状況を勘案し、破産、民事再生、会社更生、私的整理など様々な手続きの中から適切なものを「選択」し、アドバイスします。これらの検討にあたっては、会社が負担している債務や担保(保証も含みます。)の状況、保有する売掛金その他の債権、在庫その他の資産、現在の経営状態、従業員に関する情報、店舗や営業所の賃貸借契約の内容など様々な情報を詳細に聞き取り確認します。破産を選択する場合には、破産手続に乗せるため情報を分類、整理し、破産に向けて必要なアドバイスをします。

正式に破産申立ての依頼を受けると、裁判所への申立て前の準備として、債権者に対して「受任通知」を発送することを検討します。受任通知を送ることにより、以後、滞納している支払の催告について弁護士が対応できるようになります。ただし、法人破産の場合、受任通知を送ることで申立ての準備が円滑に進められなくなることもあります。そのため、事案ごとの具体的な事情を勘案して、受任通知を送るかどうか慎重に判断します。

申立書の作成が終わると、管轄の地方裁判所に破産の申立てを行います。その後、「債務者審尋」が行われ、事業内容、債権者の数、財産の内容、破産申立てに至った経緯、破産手続上課題になると思われる事項などについて裁判官から質問を受け、これに回答します。弁護士が委任を受けていれば、債務者審尋は弁護士が対応することになります。破産手続開始の要件を満たしていると判断されると、適宜の時期に裁判所が「破産手続開始決定」を行い、原則として「破産管財人」が選任されます。

破産管財人は、裁判所から選任され、法人の負債と資産を調査し、資産については換価処分して債権者に配当する役割を持つ者です。破産管財人は、裁判所が指定して開催される「債権者集会」において、管財業務の進捗状況、負債や資産の調査結果、資産の処分状況などを報告します。資産を現金化して配当できるだけの財団(破産財団)を構成できれば、債権者に対して法律に従った公平な「配当」を実施します。すべての清算を終えれば、破産手続を「終結」し、法人格が消滅するとともに残った負債は消滅します。配当を実施できるだけの破産財団を構成できなかった場合には、配当を実施しないまま破産手続を「廃止」し、法人格が消滅するとともに残った負債は消滅することになります。

なお、個人保証した保証債務は残るため、個人保証した経営者は自らの破産も検討する必要があります。

少額管財とは

小規模の法人においては、少額管財事件として、簡素化した手続きで、低コストで法人破産を完了させるケースもあります。東京地方裁判所では、この少額管財事件を「通常管財事件」と呼称し、原則的な破産管財事件のやり方となっています。

<予納金の負担を大幅に減らせる>

少額管財の最大のメリットは、予納金を大幅に減らせることです。

通常の管財事件においては、会社債権者の数や負債の規模にもよりますが、100万円近い金額からそれ以上の予納金を裁判所に納める必要があります(東京地方裁判所の運用では、最低70万円以上の予納金が必要になります。)。

これに対し、少額管財の場合、予納金は20万円程度とされています(東京地方裁判所の運用では、原則20万円とされています。)。

法人破産の予納金は、必ず納めなければならない費用です。これを収める余力もなくなってしまうと、破産手続開始決定を受けることができません。そのため、大幅な予納金の減額が期待できる少額管財は、資力の乏しい小規模法人にとって重要な運用となっています。

<弁護士の介入が必要不可欠である>

少額管財を利用するためには、通常、弁護士が委任を受けて申立てを行うことが必要です。一般的に、債務者が弁護士に依頼することなく申し立てる場合には、少額管財により手続を進めることができません。

裁判所に納める予納金は、主に破産管財人に対する報酬に充てることが想定されています。申立て前に弁護士が介入して的確で十分な調査を行っていれば、破産管財人の労力を省力化できるという考え方が、少額管財の運用を支える基礎となっています。

<裁判所ごとに運用が異なる>

少額管財は、法律で定められた仕組みではありません。あくまで裁判所の運用によるものです。そのため、申立先となる裁判所ごとに、少額管財を適用できるための要件が異なる可能性があります。都市部では少額管財の運用を導入していることが一般的と思われますが、地方では少額管財の運用を行っていない裁判所もあるようです。弁護士は、こうした各裁判所ごとの運用も調査、確認した上で、申立ての準備を進めることになります。

最後に

破産手続は、一見、簡単に申立てができるように見えるかも知れません。しかし、実際には様々な調査、確認を行う必要があります。申立て後に裁判所から疑問点や問題点を指摘されても、手遅れになってしまうことも考えられます。少額管財という運用を上手に利用すれば、低コストで弁護士に依頼し、より適切な申立てや申立て前の処理を行うことが可能となります。

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。